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レジオネラ症

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レジオネラ症〜在郷軍人病〜

全身の倦怠感、筋肉痛、軽い頭痛などがあり、その後、急激に発熱。
悪寒、震えを伴いインフルエンザに似た発熱や呼吸困難を起こします。
また、体が弱っていると重症の肺炎を引き起こします。
発見が困難な上、一般的な抗生物質では治療が難しく、死亡する場合もあります。

日和見感染症と言われ、幼児やお年寄り、あるいは肝障害のある人、悪性腫瘍など抵抗力が低下している人が感染しやすいです。
30〜40代の元気な人も感染します。


レジオネラ属菌の発見

1976年7月
アメリカ フィラデルフィアのベルビュースタンホテルで開かれた在郷軍人大会。
参加者やホテル周辺の通行人などに原因不明の劇症肺炎が集団発生しました。
1979年
原因となった在郷軍人大会にちなんで

【在郷軍人病】 
「Legionella (在郷軍人) pneumophila (肺を好む) 」

と名付けられました。

レジオネラ属菌はどこに?

自然の中では土、河川、池や沼などに生息しています。
人工の環境では空調用の冷却塔、給湯器、加湿器、公園などの噴水にいます。

○ 消毒されていない水

○ 入れ替わりの少ない水

○ 水温 25〜43℃の水


温泉施設の源泉には、あまり生息しないと考えられています。
特にph3.0以下の酸性温泉、65℃以上の高温温泉には生息していません。
レジオネラ属菌が温泉浴槽水に混入する経緯は明らかになっていませんが
土ぼこりや、人の体に付着して温泉内に持ち込まれると考えられています。

レジオネラ症

レジオネラ属菌の感染によりおこる
レジオネラ肺炎と自然治癒型のポンティアック熱の2つがあります。

レジオネラ肺炎 (肺炎型)

多臓器不全を起こして発症後1時間以内に死亡する劇症型から軽微なものは抗生物質治療で治癒するものもあります。
発熱、前身倦怠、頭痛、筋肉痛、咳などを伴います。
発症年齢は50〜60歳代が最も多く男女の比率は約3:1で男性の方が多いです。

主な症状 高熱・咳・痰・頭痛・胸痛・筋肉痛・悪寒・下痢・意識障害

潜伏期間
 2〜5日
発病率 1〜6%


ポンティアック熱 (非肺炎型)

インフルエンザに似た発熱性疾患で肺炎にならず、特別な治療をしなくても治癒する場合が多いです。
中には倦怠感や呼吸困難感などが残るものもあります。 

主な症状 発熱・咳・頭痛・胸痛・筋肉痛・悪寒・下痢・意識障害
潜伏期間 1〜2日
発病率 95%


温泉でレジオネラ症に感染!

通常の場合、浴槽より蒸発する水蒸気の中にはレジオネラ属菌は存在しません。
しかし、物理的にエアロゾル (細かい水滴・霧) にする場合、存在します。
浴槽内で泡風呂や、うたせ湯などで発生したエアロゾルを吸ったり浴槽のお湯や水を体に取りこんだ場合に起こります。

人から人には感染しないと考えられていますが、1つの感染源から多くの人が感染するため、集団発生を招く恐れがあります。

温泉施設のレジオネラ汚染の状況

1993年6月〜1994年12月までに日本国内の温泉浴槽水135箇所を調査。
レジオネラ属菌が陽性であったのは84浴槽 (62%)
浴槽水のphは2.1〜9.0と様々でしたがレジオネラ属菌が検出された浴槽水はアルカリ性に寄る傾向があったそうです。
レジオネラ属菌が陽性であった浴槽水のph値は7〜7.4。
その中でもph7.2が最も多く検出されたそうです。

レジオネラ菌に安全な温泉の見分け方
1. 循環ろ過装置を利用していない
アルカリ性の強い温泉の場合は、塩素消毒が効かないといった問題があります。
循環ろ過装置が使われていない温泉の方が安全なことは間違いはありません。
この見分け方については、直接お店の方に聞いてみるが良いです。
循環ろ過装置を利用していても安全に管理している場合
レジオネラ症を発症する事はありません。

2. エアロゾル発生装置が設置されていない
前述いたしもうしたエアロゾル(霧状)。ジャグジー、うたせ湯、気泡発生装置などエアロゾルを発生する装置が浴槽に付いている所では浴槽水にレジオネラ属菌が発生した場合、肺にレジオネラ属菌を吸い込みレジオネラ症を発症する可能性が高いため危険です。
特に、循環ろ過装置を利用している浴槽にこれらの施設がある場合、危険性は高いです。

3. 貯湯槽の水温が60℃以上
レジオネラ属菌は、60℃以下の水温で繁殖します。
貯湯槽の水温が60℃以下の場合、貯湯槽内においてレジオネラ属菌が繁殖する可能性があります。
循環ろ過装置を使用していなくても、エアロゾル発生装置があれば入浴者が、レジオネラ症を発症する可能性があります。
エアロゾル発生設備がなくても、寝込んだり、浴槽水が誤って肺に入った場合、レジオネラ症を発症する可能性があります。

結論
原湯の温度が60℃以上。
浴槽に60℃以上の高い温度のまま給湯。
循環ろ過装置とエアロゾル発生装置を設置していない。


以上の浴槽が安全ということになります。